【なをとの離島観光記/慶良間諸島編】沖縄県那覇市から日帰りで遊べる島『阿嘉島』とは?鹿と共存する観光地は奈良公園だけじゃなかった。

沖縄に引っ越して、海の美しさに慣れてきた頃に出会うのが慶良間諸島(けらましょとう)という魔境だ。別名『ケラマブルー』とも呼ぶ。海の色に名前ついてる時点でもうズルだよな。詐欺の入り口ってだいたい青くて綺麗な画像から始まるからね?

ってツッコミたくなるけど、行ってみたらマジで画像加工を超えてくるリアル青なんだから世話ない。今回紹介する『阿嘉島(あかじま)』は、その慶良間諸島の中でも特に、アクセス良い人少ない海やばい鹿いるという、全部盛りの癒し系離島である。

というか、沖縄の離島ってだいたい『海が綺麗』って言うじゃん?でも阿嘉島は違う。

・島に学校あるのにコンビニない
・島の中心で鹿が信号無視してる
・海があまりに透明すぎて魚の方から「こんにちは」してくる

これもう、人間側が観光に来てやってるんじゃなくて島の生態系に一時的に許されたって認識の方が正しいからな。

ちなみに慶良間諸島の名産品って聞くと「もずく?海ブドウ?よく知らんけどヘルシーそう」ってイメージだけど、現地ではそれ以上に『野生の鹿』が話題をかっさらう。

「沖縄の離島に鹿なんているの?」って言った県外民、集合。阿嘉島は奈良に勝てる。そんな阿嘉島。見た目は穏やか、でも中身は野生。

この離島がなぜ観光客に愛され、なぜ野生の鹿がのびのび暮らせてるのか。そしてなぜ筆者が「次は泊まりで行きたい」と思ったのか。そんな話を、魚たちと共にお届けします。


【阿嘉島の紹介】

場所は、那覇からフェリーで一時間くらい南の方。位置的には『沖縄本島の右下の青いところの群れ』の中のひとつだ。地図で言うと「だいたいこのへん」としか言えないけど、Googleマップがなかったら一生辿り着けないレベルの孤島。でもそこが良い。

特徴は何かって?

  • 人より鹿の方が堂々としてる
  • コンビニはないけど星はある
  • 車も信号もあるけど、ほぼ飾り
  • 街灯は少ないけど、虫は多い
  • 人間より海の方が歓迎してくれる

阿嘉島は、人間社会で疲れ切ったあなたが「現実って何だっけ?」って混乱するためのリハビリ施設です。

観光客「Wi-Fiはどこにありますか?」
島民「風の中に」

このレベル。島の空気にスマホが負けて電池消耗する。お前誰だよってくらい電池減る。

そしてこの阿嘉島、なぜか『野生の鹿=ケラマジカ』が普通に歩いてる。ビーチの影で休憩してるし、こっちがカメラ構えても撮らせてやってる感すごいし、奈良の鹿より明らかに貴族気質。

鹿「は?観光客?お前誰に許可とって島入ってきた?」
鹿「俺ら、先住民だぞ?テリトリーに気を遣えよな?」
鹿「SNSに勝手に上げんな、肖像権あるから。」

もうこの鹿たち、エージェントついてるんじゃないかってくらい堂々としてる。そこに惚れる。むしろ跪く。つまり阿嘉島ってのは、人と鹿と海と太陽が『全員主役』やってるカオスな離島なんだよ。観光に行くつもりが、気づいたら人生の謎がひとつ増えてる場所でもある。


【阿嘉島の歴史】

①先史時代と人の暮らしの始まり

まずこの阿嘉島、観光客にとっては『日帰りOKのパラダイス』かもしれないけど、考古学的には『人類が生き残るのに向いてないギリギリのサバイバルゾーン』だった。でもそんな環境に、なぜか昔の人が住んでた。変態かよ。

どうやら島のあちこちから貝塚や骨器が見つかってる。つまり昔の人はここで貝を拾って、魚を釣って、海風と一緒にサバ読んで生きてた訳だ。

考古学者「この貝塚の堆積、すごいですね」
島のお爺「それワシの先祖の食べかすやっさ〜」

多分そんなノリ。

②琉球王国時代の阿嘉島

その後、琉球王国が華やかに栄えた頃。首里城では王様が三線を奏で、阿嘉島では人々が必死に航海していた。というのも、阿嘉島は那覇から久米島、さらには奄美や中国に向かう航路の中継地だった。いわば、海のサービスエリア的存在。

船乗り「この島に自販機ある?」
島民「ヤギ乳なら出せる」

現代ならミネラルウォーター、当時は天然の塩と魚。海上交通の要だったんだよ。

③明治以降の行政と暮らしの変化

明治政府がやって来た時、沖縄は全体的に「お前ら誰だよ」って空気だったんだけど、阿嘉島はその最前線だった。

那覇中心の行政が徐々に慶良間まで手を伸ばし、阿嘉島は『那覇の出先機関』みたいな感じに。でも次第に独立した生活圏としての色が濃くなっていった。言い換えれば、東京本社が口出してきたけど、最終的に地方支店の方が仕事できた的展開。

本土役人「この島には何もないですねぇ」
島民「あるよ、心が」

うん、泣いた。

④昭和から戦後復興までの阿嘉島

沖縄戦の話は今回は置いとく。なぜなら阿嘉島は戦場ではなく『戦後に立ち直った人間たちの意地と工夫の島』だから。

漁業の再建、簡易水道の整備、道路と港の復旧。なにもかもがゼロからの出発だった。でもそれをやりきったんだよこの島は。つまり根性が海より深い。

島のお爺「戦後、電気通った時の感動は…たまらんかったさ〜」
若者「Wi-Fi遅いってキレてた自分が恥ずかしい」

今の便利さは、全て当たり前じゃなかった日々の上にある。

⑤現代の阿嘉島と観光地化の歩み

そして現代。2014年、慶良間諸島は国立公園に指定され、阿嘉島は『ダイバーにモテる島』へと華麗に変身。

ダイバー「サンゴが綺麗すぎて、人生のレベルが上がった気がする」
島民「それより飯ちゃんと食ってけ」

でも、観光地化ってのは一歩間違えば文化破壊だから、阿嘉島はサンゴ保護やエコツーリズムに真面目に取り組んでいる。鹿も守る、海も守る、人間はギリ守る。

【まとめ】

阿嘉島の歴史は、ざっくり言えばこうだ

  • 昔の人「魚うめぇ!」
  • 琉球王国「ここ通るな!」
  • 明治政府「お前も戸籍入れろ!」
  • 戦後の人々「何もねぇ…でも生きてやる!」
  • 現代の観光客「SNS映えヤバいんだけど!」

時代と共に、島の『役割』も『立場』も変わってきた。でも変わらないのは、人と自然が共に生きてる事。そして、鹿が相変わらず偉そうな事。


【ケラマジカとは?】

①阿嘉島で生きる野生の鹿の正体

鹿と聞いて真っ先に奈良を思い出したそこのアンタ。その時点でシカ界における視野が狭い。沖縄にもいるんだよ鹿が。しかも、天然記念物。その名も

ケラマジカ(慶良間鹿)。

阿嘉島を中心に、慶良間諸島に生息する希少な鹿であり、人類からの認知度が低すぎて「マジか?」って名前に空耳されがち。ちなみにサイズはちょっと小柄。つまり可愛い。でも、顔は普通に野生。目が『生きて帰る目』してる。

観光客「カワイー」
鹿「なんやコイツら」

こっちが勝手に癒されてるだけで、鹿はこっちを癒す気ゼロ。それがケラマジカの良さ。

②ケラマジカの起源と保護活動

こいつら、実は移民系である。もともとは本島南部の糸満市や南城市の山中から連れてこられた説が濃厚。

明治時代「島でも肉が食べられるように」というバチクソ乱暴な理由で持ち込まれたんだが、気がついたら『野生化→増殖→天然記念物』というまさかの出世コースを歩んだ。

島民A「増えすぎじゃないか?」
島民B「でも絶滅危惧種らしいよ?」
島民A「じゃあ守るか」

現在は捕獲制限あり、観察ルールありの、超丁寧な扱い。たまに「数が増えすぎると生態系壊す」って理由で話題になるけど、それを言うならお前ら人間の方がよっぽど生態系壊してるんで黙ろうか。

③観光客とケラマジカの共存事情

「触りたい」とか「エサやりたい」とか、人間の勝手な愛情表現がケラマジカには通じない。というか近づきすぎ注意、餌やりNG、追いかけNG、写真のために道ふさぐのは論外。ケラマジカは観光スポットじゃなくて、島の住人。ちゃんと距離を取って『生きてる野生』を見るべし。

自然界におけるリスペクトは、干渉しない事。

④奈良公園との違いはここ

最後に言っとくけど、奈良の鹿と阿嘉島のケラマジカは全然違う。ざっくり比較してみよう。

項目奈良公園の鹿ケラマジカ(阿嘉島)
人懐っこさありすぎて財布狙ってくる基本的に塩対応
エサ鹿せんべい(公式)与えちゃダメ(非公式でもアウト)
住処神の使い+観光資源野生+島民と共存
接し方目が合ったら即バトル目が合ってもスルー
SNS映え過剰に狙ってくる撮るなら勝手にどうぞ

奈良の鹿が『営業モードのアイドル』なら、ケラマジカは『休日のオフに遭遇した俳優』って感じ。つまり、見つけたらラッキー。触ろうとしたら通報される。でもそれがいい。それでこそ、野生の尊さだ。

【まとめ】

ケラマジカは、観光客を癒すために存在してるんじゃない。ただ、そこに生きてるだけ。それを尊重できる観光客こそ、本物の旅人なんじゃねぇの?…まぁ、奈良公園で鹿せんべい無視された俺が言うのもアレだけど。


【その他の観光スポット紹介】

①ニシバマビーチ

阿嘉島で一番人気のビーチ。っていうかもう『阿嘉島=ここ』みたいな風潮ある。名前が覚えにくいのが難点だけど、いざ着いてみると忘れるのは名前じゃなくて現実の方。

で、何がそんなにスゴいのかって

  • 砂が白い。異常なほどに白い。
  • 目に優しくないタイプのホワイト。
  • サングラス無しで来ると、視力が迷子になります。
  • 波も静か、透明度バケモノ級、マリンアクティビティはやる気出せば揃ってる。
  • そして何より混んでない。

本島のビーチみたいに「魚より人の方が多いじゃねぇか!」みたいな事は起こらない。ニシバマは海の形をした静寂。心の洗濯。ついでに日焼けと脱水症状にもなれる。つまり命がけの癒し。

②慶留間小中学校

「小中学校が観光スポット?」って思ったそこの君。正気だよ。島民も俺も。

この学校、立地がヤバい。背後に海。前にも海。体育でバレーしてる間にイルカが通るレベル。しかも全校生徒数が8人。少人数制もここまで来ると学級じゃなくて血縁だよ。

先生「今日から北海道からの留学生が来ます」
生徒「お前…[この島で生きていけんのか試験]が始まるな」
留学生「えっなにそれ(震)」

そして留学生は、毎日虫と闘い、日焼けと戯れ、二週間後にはヒスイ色の瞳で三線弾いてるレベルの適応力を発揮する(知らんけど)。

③さんごゆんたく館

ゆんたく=沖縄方言で『おしゃべり』つまり、ここはサンゴと人間のおしゃべり場。内容はちゃんとしてる。慶良間のサンゴ礁、海の環境問題、生き物の暮らしについての資料館。なんだけど、場所が良すぎて逆に油断する。

  • 港から徒歩3分。
  • 入った瞬間、クーラー効いてる。
  • 海の資料見ながら「帰りの船乗りたくねえな」と思う場所ランキング上位。

観光スポットというより、帰りたくなくなる準備段階。パンフレット持って帰ると、しばらく現実に戻れなくなる副作用あり。

【まとめ】

阿嘉島って、コンパクトだけどちゃんと中身が詰まってる。

  • ビーチ→視力が終わるほど白い
  • 学校→人類の限界集落だけど生きてる
  • 資料館→クーラーと環境教育と帰りたくなさ

どれも『観光地』ってより『暮らしに直結したリアルさ』があって、ついでに全部徒歩圏内という親切設計。やっぱり言うしかない。阿嘉島、鹿だけじゃない。


【阿嘉島のアクセス】

①出発地(港の住所)

  • 〒900‑0016
  • 沖縄県那覇市前島3‑25‑1
  • 泊港(とまりん)北岸/南岸
  • Googleマップ

②出港時間

船種出港(那覇泊港)→ 阿嘉島阿嘉島 → 那覇泊港
高速船(クィーンざまみ)09:00/15:00/夏期は三便あり10:20/17:00~(2~3便)
フェリー(フェリーざまみ)10:00→11:30 15:30(便により16:00発も)→約90分後 

③乗船料金

船種大人片道/往復小人片道/往復
高速船3,200円/6,080円1,600円/3,040円 
フェリー2,150円/4,090円 1,080円/2,090円 

④決済方法

  • 窓口にて当日現金&クレジットカード対応 
  • WEB予約はクレジットカード決済(出港一ヶ月前から受付)

⑤港の駐車場

駐車場台数料金
泊港駐車場約100台以上(複数あり)最大24H 1,800円/1H 100円

案内が結構ガバガバなので、公式ホームページからもチェックお願いします!座間味村公式ホームページ


【実際に行ってみた】

①予約はお早めに

「阿嘉島?なんか静かそうでいいじゃん」って思って即行こうとしてない?甘い!甘すぎて島バナナ!阿嘉島は観光客少なめだから余裕だと思いきや、フェリーは座間味島経由っていう超人気コースだから普通に埋まります。空いてるやろって昼に予約しようとしたら、目の前で座席が満席になってカタカタ震えるタイプのホラー体験が始まるから、予約は早めに。

②売店は現金のみ(島のお約束)

島に行くたびに現金払いの洗礼を受けてるのに、なぜか毎回「PayPayでいけるっしょ」と思ってカードだけ持ってく私は学習能力のない人間の代表です。あのですね、島の売店は基本、現金一択です。レジ横の猫も顔で「無理ニャ」って言ってます。阿嘉島に行く時は現金持参、現金は正義、現金こそ通貨。

③チャリで足りる

まず言わせて。島のサイズ感、最高。チャリで移動してると「もう次のスポット?」って思うくらいの絶妙さ。バイク?車?要らん要らん、荷物になるだけ。自転車の『停めたい時に即停められる』って自由さが、この島のリズムにピッタリ。頑張れば徒歩でもいけますが、帰り道に「あの坂なんであんな傾いてんの?」って魂抜ける可能性あるので、無理は禁物。

④『レンタルショップしょう』さんに救われた

チャリを借りるのに予約が必要だと知らず、無計画で突撃した結果「すみません予約制なんですけど…あっちょうど一件キャンセル出たので…」と奇跡のチャリ確保。運を味方につけるのも実力ですが、皆さんは真似しないように。日帰りレンタルで1000円とか、令和の価格設定じゃない。やばい。

絶対フェリー予約の時に一緒に連絡しておこう!店舗位置はこちら[Googleマップ]レンタルショップしょう


【最後に】

阿嘉島はね、観光地っていうか、現実逃避地です。「やばい…仕事行きたくねぇ…」とか「人類もう無理…」って思った時に、全てを無かったことにしてくれるやばさがある。島の空気がもう全力で甘やかしてくるんだよ。しかも、鹿。人より鹿の方が島に馴染んでるし、こっち見てくる目が完全に「お前もう帰んなよ」って言ってる。正直その目が刺さりすぎて、心の中で荷物ほどいた。

チャリ漕ぎながら風浴びてると、脳がバグってくるんですよ。「何だっけ俺の人生…何してたっけ…」って。最後はもう「人間やってる場合じゃねぇな」って。島にいると、社会的責任とか理想の未来とか、全部どうでもよくなる。

…という訳で、阿嘉島は本当に最高な島ですが、一点だけ注意点があります。

帰りたくなくなる。

それでも行きたい人はどうぞ。帰ってこられる保証はありません(ちなみに今この記事書いてる俺も精神的にはまだ阿嘉島)

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