いやもう正直に言うけど、南国リゾートだのエメラルドブルーだのって言われるとこっちはまず「はいはい、どうせインスタ女子とバカップルが横並びで映え自慢してるんでしょ?」って思っちゃうわけよ。もう汚れてるんですよ、心が。
そんな汚れた魂のまま踏み込んだのが、宮古島。沖縄のさらに南西、海に浮かぶ楽園(だとか言われてる)離島。名産は宮古そばとマンゴーと…あとウミガメが泳いでそうな色の海。偏見で言えば、那覇より洗練されてる風で、でも交通手段が鬼のように不便な場所。あと、異常に風が強い。島のくせに常時強風。
で、そんな宮古島の最東端にあるのが、今回の主役『東平安名崎(ひがしへんなざき)』。
名前からしてややこしい。絶対ひとりは「ひがしへいあんなざき」って読んでドヤ顔するタイプのやつがいる。最初に言っとくと「へんな」って読むけど別に変な岬じゃない。むしろ真逆。神がブラシかけたみたいに美しい。
灯台がポツンと立ってるだけの地味な場所って思ってたよ。でも違った。
風が吹く。
海が光る。
地平線に、何かが始まりそうな気がする。
…って…あれ?俺…なんか心が…洗われて…ない?さっきまで「インスタ女子全員海に落ちろ」とか思ってたのに、なんかもうどうでもよくなってきたんだけど。やばい…これ…島に浄化されてる!!!
ということで、汚れた皆さん。あなたの黒い感情をまるっと海にぶん投げに行きましょう。最東端の岬で、あなたの煩悩、風に吹き飛ばしてきてください。

【東平安名崎とは?】
東平安名崎(ひがしへんなざき)は、宮古島の最東端にあります。宮古空港から車で約40分。遠い?そうですね、遠いです。でも近くてうるさい場所よりは100倍マシです。
ここはなんといっても、真っ直ぐに続く細長い岬が最大の特徴。両側を海に挟まれ、まるで人間の迷いも余計な感情も「右へ左へ押し流していきますね〜」ってノリで風が吹いてくるんです。歩いてるうちにだんだん思考もシンプルになってきて、最終的には「帰り道どっち?」しか考えられなくなります。
そして忘れちゃいけないのがここ、沖縄屈指の『日の出スポット』です。
特に冬。東の空から昇る朝日が、まるで「生まれ変わる準備はできたか?」って聞いてくるレベル。光が灯台の背後から差し込む瞬間なんて、薄汚れた大人も「お…俺まだギリ浄化間に合うかも…?」って希望持てます。いや、調子乗るなよ自分。
あと、地味に国指定の名勝って肩書きも持ってます。でも正直その肩書きが霞むくらい、目の前の絶景の説得力が強い。
お店?ないです。カフェ?ないです。コンビニ?それもないです。あるのは灯台と風と、己の心の声だけ。でもそれでいいんです。いや、まだ完全には認めないけど…多分、それでいいんです。
次は…もう少し優しくなれそうな気がする。多分ね。

【東平安名崎の歴史】
東平安名崎は名前だけ見ると、なんかこう、漢字詰め込みすぎて誤変換にしか見えないんですが、ちゃんと意味があります。「平安」は、読んで字のごとく「平和で安らかな土地」という意味。「名崎(なざき)」とは「名高い岬」という意味。つまり、ここは昔から『平和で名高い岬』とされていた聖地なんです。
え?そんなイメージなかった?そうだよな、観光パンフレットだと「灯台!絶景!以上!」みたいなノリだもんな。だがここ、古代から神聖な場所として扱われてきました。
①なぜここが聖地なのか?
まず、東平安名崎は古くから『太陽の昇る場所=神が現れる場所』と信じられてきました。沖縄本島や八重山地方と同じく、宮古諸島にも『御嶽(うたき)信仰』があり、東の方向は『命の源』とされているんです。
つまり、朝日が昇る場所は、物理的な現象以上のもの『精神的な再生・魂の目覚め』として捉えられていた。そう考えると「灯台しかねぇじゃん」って口に出した自分を殴りたくなりますね。
②灯台の歴史
現在、岬の象徴になっている『平安名埼灯台』は1967年に完成しました。高さは約24メートル。海抜から計算すると光源の高さは約43メートルで、沖縄の海を航行する船たちの命綱。
地味に全国でも登れる灯台16基のうちのひとつです。ちなみに登るには200円。えっ安くない?絶景と心の再起動ができて200円って、スタバのカップすら買えない令和で何それ…ありがたすぎて逆に怖いわ。
③宮古島戦争遺構の側面も
第二次世界大戦では、宮古島全体が要塞化され、この岬も監視・警戒ポイントとして使われました。現在ではその名残はほとんど残っていませんが、地元の方々は『美しいだけじゃない歴史』をきちんと語り継いでいます。
戦争で壊されなかった奇跡。
自然に勝手に壊されなかった奇跡。
観光開発で無理矢理『映え』にされなかった奇跡。
それらすべてが今、この岬の静寂に詰まっています。気がついたら、語りすぎてしまったかもしれません。でもそれくらい、この東平安名崎には語らせる力がある。「ただの灯台じゃん」そんな気持ちで来たあなたを、この場所はちゃんと見てます。そして、ちゃんと変えてきます。

【東平安名崎のアクセス情報】
項目 | 内容 |
---|---|
アクセス | 宮古空港から車で約40分。伊良部大橋や下地島空港からも車でアクセス可能。[東平安名崎]でナビ設定OK。 |
駐車場住所 | 〒906-0000 沖縄県宮古島市城辺保良東仲宗根原 |
駐車場情報 | 約20〜30台の無料駐車スペースあり(駐車場は道路肩に面して設置)。 |
駐車可能時間 | 24時間(灯台は8:30〜16:00) |
利用料 | 駐車場無料。灯台に登る場合は大人200円/子ども無料 |
優しい顔して油断するなよ、午後になると駐車場が満車になることもあるから、朝の光とともに現地入りするのがベストです。あと、灯台登るならスカート禁止。階段が急で、油断してたら物理的にも精神的にも見下されます。
【実際に行ってみたら】
①灯台しかない。
正直申し上げて、灯台しかございません。その灯台があればもう十分なのです。余計なものがないということは、余計なことを考えなくて済むということなのです。
②空と海と風の暴力。
空と海と風が強すぎて、逆に己の存在がちっぽけに思えてくる。そんな環境で「いや、灯台しかないんですけど…」なんて不満を漏らせる人間がいたら、それはもう神に試されていると思ってください。
③飛んだら諦める。
ちなみに帽子は一瞬で飛びます。そして飛んだ先は両サイド全部海です。そのときの私の心の中は追いかけても届かない恋レベルの虚無で満ちておりました。
④日陰がない。
それから、日陰になるものが何一つないので、日差し対策は必須です。帽子(飛ばないように紐付き)、水分、日焼け止め、あと油断しない心。ここは自然という名の修行場です。
⑤午後の方が綺麗かも。
日の出は確かに有名ですが、寝坊しても大丈夫。午後になると、逆光じゃなくなった岬が黄金に光って見えるので、むしろ写真映えを狙うなら午後の方がアリです。「最東端のくせに午後が映えるってなんやねん」って言いたいけど心が清らかになったので言いません。
静けさの中に響く波の音。何も考えずに風を受けて立ち尽くしてるだけで、都会でこじらせた心が潮風でデトックスされていくのがわかります。この場所を訪れて「何もない」って言える人は、きっと自分の中にも何もない人だと思います(昔の私です)。

【最後に】
灯台しかない場所で、なぜ人は心を洗われるのか。それはきっと「余白」に耐えられなくなった我々現代人の心が、無意識に静けさを求めていた証拠なのです。東平安名崎には、派手なアトラクションもなければ、インスタ映え確定スイーツもございません。けれども、その代わりにあります。風が、波が、空が、海があなたの煩悩を静かに根絶やしにしてくれます。帽子を飛ばされた瞬間、私は理解しました。この世に執着するものなど何ひとつないのだと。キャップが消えても心は折れない、そんな自分に出会えた気がしました。
そして今、私は思うのです。人間、灯台ひとつでここまで改心できるんだなと。もしあなたがこの世の全てに疲れ果て、心がモヤシのようにしおれているなら東平安名崎に行きましょう。
灯台が、全てを許してくれます(知らんけど)
また、煩悩にまみれた心で観光に出かける予定なので、そのときは再びひねくれモードでお会いしましょう。
