【なをとの離島観光記/伊平屋島編】沖縄最北端にある観光に媚びない島『伊平屋島』とは?海の透明度が水を超えて気体になってる穴場スポットを紹介。

沖縄県。この言葉を聞いた瞬間、脳内に「青い海!白い砂浜!修学旅行で行った美ら海水族館!」みたいな量産型テンプレが流れてくる人間は、今すぐこのページを閉じてくれて構わん。

というのも、今回紹介するのはそういう『沖縄っぽい沖縄』じゃない。南国リゾートだの、映えカフェだの、恋バナインスタだの、そんなもん全部置いてけ。ここは沖縄最北端に位置する『伊平屋島(いへやじま)』だ。

日帰りなんて甘えた言葉は通用しない。行くのに船は必要。泊まりも必要。ついでに覚悟も必要。でもその代わり「ここ本当に日本か?」ってレベルの透明度と、魂ごと浄化されそうな静けさが手に入る。

観光地じゃない。観光資本主義に媚びてない。島の全員が、観光客が来ようが来まいが「別に」って顔してる。あと、伊平屋島って響きだけでもう美味そうだよな。泡盛のつまみにしたい。って思ったら、本当に泡盛の名産地だった。この島、思ったより攻撃力が高い。

ということで、一周2時間で終わるけど一生の記憶になるそんな島の話を、今から始めよう。


【伊平屋島とは?】

沖縄本島の北の果て、運天港からフェリーで約80分。那覇空港からは高速道路か下道で3時間以上車を走らせ、さらにそこから船で海を越えてようやくたどり着く。アクセスのハードルがなかなか鬼。「え? そんな時間かけて行く価値あるの?」って聞いたやつ、あとで体育館裏来い。全力で島の写真見せながら説教する。

①人口と面積

伊平屋島の人口は約1,200人。面積は約21㎢。数字だけ見ると「ふーん」ってなるが、実際に行くとめっちゃ広く感じる。なんせ、自然の密度が濃い。誰かが空気に映像を投影してんじゃないかってくらい、海も山も空もグラフィックバグ起こしてるレベルで綺麗。そして、その自然の中で人間は超控えめに生きてる。まるで申し訳なさそうに家がポツポツある感じ。おい、観光地どこ行った。

②観光地?

伊平屋島の最大の魅力?それは『媚びてない事』だ。観光客に対して「来てもいいけど無理しないでね」みたいな、距離感バグった大人の余裕。映えスポット? ないよ。だけど心にはめっちゃ刺さるスポットなら死ぬほどある。海は透明すぎて存在忘れそうになるし、夜の星空はアプリの天体図かと思うくらいリアル。でも、島民たちはそれを『普通』だと思ってる。だから観光パンフも、どこか自信なさげ。逆にそれが良い。

伊平屋島は透明すぎて存在が不安になる島だ。水も、空気も、景色も、人との関わりも、全部が希薄なのに濃い。まるで気体のくせに殴ってくるタイプの自然。行ってみたら分かる。この島の何がすごいって、観光地らしさがゼロなのに感動だけはフルボリュームなんだ。


【伊平屋島の歴史】

『最果て』って言葉、カッコいいよな?でも実際に沖縄本島最北端で人間が生活してた歴史を掘ると『カッコいい』とか言ってられなくなる。過酷、孤立、サバイバル、台風、そして神。そんなワードで満ちてるのが、伊平屋島の歴史だ。

①[有史以前]神と人間が曖昧だった時代

まず言っておくが、伊平屋島は信仰の島だ。古くから琉球神道の聖地として崇められていて『クボー御嶽(うたき)』と呼ばれる祈りの場は、今も村民にとって神聖な場所。

この島では『自然=神様』という認識が根付いてる。山や海を勝手に荒らすと『ぶっ飛ばされる』って話、観光ガイドにすら書いてないけど、地元民の間では常識だ。神様は静かに怒る。そして長く根に持つタイプ。

②[グスク時代]琉球王国の支配下へ

伊平屋島の歴史が文献で登場するのは13世紀頃。当時は『按司(あじ)』と呼ばれる地方豪族がグスク(城)を築いて支配していた。島内には『屋蔵大主グスク跡』などが残っていて、そこが権力の中心だった。

ちなみにこの按司たち、隣の伊是名島の連中とバチくそ戦った。「お前んとこの水がうちよりうまい」とか「あの港こっちの方が便利だろ」とか、そんな理由でマジ戦争。もう完全に離島版戦国無双

結果、琉球王国が全体をまとめて「お前らちょっと落ち着け」と介入。それ以降、伊平屋島は琉球王府の一部となり、貢納(税の納め物)を収めるようになる。主に米、魚、塩。たまに人材。

③[江戸時代~明治]流刑地としての過去

伊平屋島には、ちょっと怖い過去もある。江戸時代、琉球王国で問題を起こした人や政治犯などが『流刑地』としてこの島に送られていたんだ。

つまり伊平屋島って『自然×神聖×サバイバル+人間の罪』というカオスなエネルギーを抱えた土地だったわけ。

おまけに地理的には那覇から超絶遠いため、行政の目も届きにくい。だから島の人たちは「自分たちで生きていく」ことにめちゃくちゃ長けている。まさに自給自足×超自主性の島。

④[戦後]本土復帰とともに変わる生活

沖縄の他の島々と同じく、伊平屋島も1945年の終戦以降はアメリカの統治下に置かれた。そして1972年の本土復帰によって、ようやく日本政府の行政が届くようになる。とはいえ、本土復帰してもこの島の基本スタンスは変わらなかった。観光地化?いや「別にこっちは呼んでないけど?」という空気が流れてる。そういう意味では、平成以降もずっと独立王国感がある。

⑤[現代]観光より暮らし重視

今の伊平屋島のメイン産業は農業(主に稲作)と漁業。近年は『焼酎伊平屋島』などの地元産品も注目されつつあるが、基本スタンスは『日常を大事にしてる島』だ。

観光地としてド派手に推されてない理由?それは、この島が『島民の暮らしの場』だから。伊平屋の人たちは、観光で稼ごうとするより『島の子どもがちゃんと生きていける社会を作る事』を優先してる。その姿勢が、逆に俺たち観光客の心を撃ち抜くんだよな。観光に媚びない島だからこそ、逆に来たくなる。それが伊平屋島の真の『観光力』なんだよ。


【伊平屋島のお勧め観光スポット】

①くまや洞窟(中には入ってません)

くまや洞窟。それは神話と信仰が交差する、伊平屋島最大のパワースポット。島の人たちは『神様が最初に降り立った場所』だと本気で信じてる。つまり、いわゆる始まりの地

…で、俺は入ってない。ええ、行ったけど、入れなかった。いや、正確には入らなかった。理由は簡単、人間が穢れてるからだ。俺のことだ。こんな薄汚れた煩悩まみれの人間が入ったら、神様がそっと天井から岩を落としてきそうだし、地面がバリバリ割れて異世界転生しそうだったのでやめた。

けど、洞窟に続く道の荘厳さ、山の静けさ、空気の違い。ただの観光地じゃねぇぞここは。信仰のステージだ。そっと手を合わせて帰る。それで十分だろう?俺たちは黙って敬意を払え。神様の前では、常に土下座。

② そこら辺の海(もう説明不要)

はい出ました。これがこの島の本気。もう正直言って「観光スポットどこ?」って探す必要がねえ。海が全てぶっ壊してくる

そこら辺の漁港、民家の前の砂浜、道端からチラ見えした海、全部が美しすぎて泣ける。海の透明度?水じゃねぇもう気体。ペットボトルに詰めて持って帰りたくなるけど、多分気圧で爆発する。

しかもこの島、観光地化されてないから、海岸にも柵も看板もねぇ。「来たいなら来れば?」というこのツンデレ対応がまた良い。商売気ゼロ、気合だけ100。観光地が見習え。

でだ。こんな美しい海に囲まれてると、人間って生き物がどれだけ醜くて、利己的で、マナーが悪くて、騒がしくて、海にゴミ投げるアホがいて、うっかり感動が怒りに変わるのよ。だからお願い、伊平屋島の海にだけは手を出さないでくれ。せめてこの海だけは、神様の領域のままでいさせてくれ。


【伊平屋島のアクセス情報】

①出発地

  • [住所]…沖縄県国頭郡今帰仁村字上運天335-2
  • [電話番号]…0980-56-4265(運天港連絡事務所)
  • [駐車場]…無料駐車場はないが、徒歩1分の場所に民間駐車場あり(1泊約700円)

②出港時間

出発地出発時間到着地到着時間
運天港11:00伊平屋島(前泊港)12:20
運天港15:00伊平屋島(前泊港)16:20
伊平屋島(前泊港)9:00運天港10:20
伊平屋島(前泊港13:00運天港14:20

③乗船料金

区分片道運賃往復運賃
大人(12歳以上)2,480円4,720円
小人(6歳〜12歳未満)1,240円2,360円
障がい者(大人)1,240円
障がい者(小人620円

【注意事項】

  • 出航10分前までに乗船手続きを済ませること。
  • 車両を航送する場合は、出航30分前までに所定の場所で待機。
  • 車両の航送は事前予約が必要。
  • 往復切符の有効期限は、購入日から1年以内。

④車両航送運賃

車両の長さ片道運賃往復運賃
3m未満6,930円13,160円
3m〜4m未満8,350円15,860円
4m〜5m未満10,340円19,640円
5m〜6m未満17,850円33,910円
6m〜7m未満22,640円43,010円
7m〜8m未満26,990円51,280円
8m〜9m未満29,890円56,790円
9m〜10m未満33,400円63,460円
10m〜11m未満36,160円68,700円
11m〜12m未満38,910円73,920円

⑤特殊手荷物運賃(片道)

種類片道運賃
自転車1,030円
原付(50cc未満)2,060円
自動二輪車(50cc以上)4,150円

【お問い合わせ先

  • [運天港連絡事務所]…0980-56-4265
  • [伊平屋村フェリーきっぷ売場]…0980-46-2255
  • [伊平屋村観光交通課]…0980-46-2177
  • [公式ホームページ]…http://www.iheyazima-kankou.jp/access/

伊平屋島の公式ホームページからも、チェックよろしくお願いします。


【実際に行ってみたら】

去年、伊平屋島に行ってきました。結論から言うと「一泊しないとか何考えてんの?」って話です。日帰りとか言ってる人、もう帰りのフェリーで自分を責めながら泣くやつです。

①必ず一泊してください

昼は信じられないくらい透明な海に心洗われ、夜は星が多すぎて「これ宇宙側がやりすぎでは?」ってなる。日の出も日の入も一人じめ。時間帯ごとに絶景が入れ替わるマルチエンディング仕様なんで、最初から最後まで見ないと損。それを「弾丸で行って昼だけ見て帰ってきました」とか言ったら、もうその感性を埋めてしまいたくなる。土に。

②コンビニはないけど売店はある

だがしかし。離島あるある『価格は距離と比例する』の法則がここにも健在。水が120円で買える世界は終わりました。「財布が泣いた」って言葉を初めて現実で見た気がした。さらに決済は現金オンリー。PayPay?Apple Pay?クレカ?…全部島の精霊が一刀両断してくれました。現金を忘れた者に未来はない

③島が観光客に媚びてない

これ。めちゃくちゃいい。「観光客?まぁ勝手に見ていけよ」っていう謎の貫禄。お土産屋もキャッチもないし、誰もテンション高く話しかけてこない。だけどその不親切さが逆に『本物の島らしさ』ってやつを感じさせる。都会の観光地で鍛えたコミュ力なんかここでは通用しない。人間力じゃなくて空気読めるかどうかが試される。

伊平屋島は自然も強いが、経済的にも精神的にもタフでないと楽しめない島。でもそのぶん、心にはちゃんと残る。むしろ残りすぎて、都会帰ってからしばらくの間「現金で支払いしたい…」ってなるから気をつけてくれ。


【最後に】

はい、というわけで伊平屋島は一泊しないと本気で損です。

いや本当、こんなに綺麗な海と星と空に囲まれておきながら「日帰りです!」とか言う奴いたらもはや悪霊。浄霊対象。少なくとも、あの透明度とあの星空は、日帰りの時間割には収まらない。絶対に。

確かに宿泊費はかかる。船代もかかる。財布は瀕死。でもそのぶん、心が満タンになります。心がエネルギー満タンになったら、財布は空でも生きていけます(生きてはいけません)。それでも一泊して感じたのは、観光地じゃなくて人の暮らしにお邪魔してるって感覚。それが伊平屋島の良さで、媚びない理由でもある。

だから「綺麗な海が見たい」ってだけの人には伊平屋島はお勧めしない。でも「今の生活にモヤッとしてる」とか「人混みが無理」とか「人間に疲れた」って思ってる奴は、絶対ここ来い。

世界がちょっとだけ優しく見えるから。

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