【なをとの内地巡遊記/奈良県編】神の使いに片っ端からボコられる観光地『奈良公園』とは?人間が生存競争に敗れた理由を深掘りしてみた。

奈良県。奈良と聞いて誰もが思い浮かべるもの…はい、そうです。鹿です。なんならもう奈良県じゃなくて鹿県に改名した方が良いのではというレベルで、脳内に鹿しか出てこない。名産も観光地も景観も、鹿が強すぎて全部かき消されてる。ちなみに奈良の名産物って何か知ってます?柿?大和茶?いやいやそんなもんは鹿せんべいに全部持っていかれて終わりです。観光パンフレットにも「鹿、鹿、鹿、あと鹿」みたいな構成で、本来あるはずの仏像や歴史的建築物たちが完全にモブ扱いされてます。

で、そんな鹿の天下統一が進んでいる奈良の中心が、今回ご紹介する『奈良公園』です。

「癒される公園かな?」とでも思いましたか?甘い。ここは人間が生存競争に敗れた地です。気を抜いたらお辞儀を返す間もなく尻を噛まれる。神の使いとかいう看板を背負った有角系モンスター達が、観光客のポケットの奥の奥まで鹿せんべい探して襲ってくる。そんなスリルと混沌の楽園、奈良公園。今回は鹿に魂を持っていかれた僕が、敬意と恐怖と反省を込めて、奈良公園は鹿だけじゃないという事実をちょっとだけお伝えしようと思います(でも9割鹿の話になる)


【奈良公園とは?】

奈良県奈良市に存在する奈良公園。広さは実に660ヘクタール。ピンと来ない?大丈夫、俺も来ない。ただ言えるのは、ここは鹿の王国です。冗談じゃなくマジで、660ヘクタール中、約659.5ヘクタールくらいが鹿の領土。残りは人間の休憩用ベンチです。

場所は近鉄奈良駅から徒歩すぐ。Googleマップで『奈良 鹿』って検索すれば、多分ナビが勝手に鹿の群れに誘導してくれます。最寄駅より鹿寄駅。

営業時間という概念はありません。なぜなら公園にフェンスもゲートも存在しないから。オープンな鹿パラダイス。人間の管理能力が試される無法地帯。

入場料?そんなもんありません。代わりに鹿への貢物(=鹿せんべい)を強制購入させられるシステムです。鹿が売ってるわけじゃないのに、鹿が取り立てにくる謎の経済圏。

ちなみに鹿せんべいは一束200円。高いか安いかは、あなたの勇気と手のひらの安全と相談して決めてください。下手に一枚でもあげようものなら、味を覚えた神の使いが10匹くらい瞬時に群がってくるので、心の準備と俊足は必須です。

特徴?
・とにかく鹿がいる。
・というか鹿しかいない気がしてくる。
・あと気がついたら、自分のポケットに鹿が入ってくる。

奈良公園の魅力とは、それはつまり

人類が鹿に支配される未来予想図を先取り体験できるテーマパーク

なのです。ようこそ、神の使いにボコられる世界へ。


【奈良公園の歴史】

奈良公園。今でこそ「あっあそこ鹿おるとこやろ?」で会話が終わるほど、鹿のイメージが独走してますが、その本質は、日本という国の成り立ちそのものとガッツリ結びついている超超超マジな歴史スポットなんです。では時代をさかのぼっていきましょう。ここからちょっと真面目になります。大丈夫です途中で鹿がまた出てきます。

①[8世紀]起源は奈良時代/鹿の神様『タケミカヅチ』

奈良公園の鹿は、ただの野生動物ではなく『神の使い』です。神話の世界で登場するのが『武甕槌命(タケミカヅチ)』という神様。この神様が、白い鹿に乗って奈良の地に降り立ったという伝承があるんですね。これ、ちょっと言い換えると神様の乗り物=鹿という話です。つまり

当時の感覚だと鹿はバイクじゃなくてハーレーに乗った神様

って訳ですよ。そらありがたがるわ。

このタケミカヅチ様は、今も春日大社に祀られておりまして、奈良公園の鹿たちはそのお膝元に住まう神の使い達って訳です。

②[鎌倉〜江戸時代]鹿がマジで命懸けで守られる

「はいはい、言い伝えね」って思ったそこのアナタ。こっからがやばいんです。なんと、奈良時代以降

鹿を殺したら死罪

という超絶ブラックな法律が制定されていました。江戸時代の文献にも「鹿を殺した奴は打ち首じゃボケェ!」的な記述があり、冗談抜きで国家レベルで鹿を保護していたんです。現代でいうと交番の前で猫撫でてたら国家公安委員長に感謝状もらうみたいな世界観です。

ちなみに鹿にエサをあげる文化もこの頃に根付き始めたと言われてます。つまり、日本人が数百年にわたって、鹿にエサをやり続けてきたという事実。そら調子にも乗りますよ。今じゃエサあげる前に角で威嚇してきますからね。客じゃなくて部下扱いされてる感がすごい。

③[明治以降〜現代]公園化して観光地

明治時代には『奈良公園』として整備され、鹿たちは晴れて神の使い兼観光マスコットという、神と商業の二足のわらじを履く存在に。1922年には、鹿が国の天然記念物に指定され、ついには『国が公式に鹿を愛してる宣言』を出すという謎ムーブ。現在は、約1,200頭の野生鹿が奈良公園に生息していて、観光客とエサとSNSカメラマンと一緒に、毎日せっせと商売繁盛してます。たまに修学旅行生のプリントを食べて怒られてますが、それもまた風情。

つまり、奈良公園というのは『神話/国家/宗教/観光/生態系』全てが鹿を中心に回ってるカオス空間なんです。普通の公園なら「芝生が綺麗」とか「桜が見どころ」とか言うじゃないですか。奈良公園は違います。鹿です。全てが鹿に吸い込まれていく。

そして、その圧倒的な歴史と信仰に裏打ちされたカリスマ性の前では、我々観光客など、ただの草や鹿せんべい以下の存在でしかありません。そんな偉大なる神の使いたちが今も普通に道路を横切ってるって、冷静に考えてヤバくないですか?奈良ってほんと平和というか、異世界。

【鹿が『神の使い』と呼ばれる理由】

最初にこの話をしたい。みんな当たり前みたいに『鹿=神の使い』って言ってるけど、誰が決めたんやそれ。もっとこう、威厳ある生き物でもよかったやろ。たとえば狼とか鷹とか、虎とか…いやいや虎はあかんわ。野生の神の使いとか普通に人間滅ぶわ。じゃあ、なんで鹿なんか。理由はちゃんとあるんです。はい、ここから真面目にいきます。

①タケミカヅチ様が白鹿に乗って奈良に降臨

これは奈良公園の歴史でも触れましたが、
奈良の春日大社には、武甕槌命(たけみかづちのみこと)という武神が祀られています。この神様、元々は茨城県の鹿島神宮にお住まいだったんですが、奈良に招かれたんですよ。その時、何に乗ってやって来たか?

そう、白い鹿です。

え?Uber使え?違うんです。当時の神様の標準移動手段は鹿なんです。多分その辺の神様のカタログ見たら白鹿モデルとかあるんでしょうね。この伝説により鹿=神の乗り物=神の使いという方程式が成立します。

②平安時代に人間と神と鹿の三角関係スタート

この『鹿=神の使い』理論が正式に広まったのは平安時代。春日大社の建立と共に、奈良の人々は鹿を特別視し始めます。

「鹿?あ〜あれ神様のアシやで」
「ほんまかいな」
「ほんまや昨日も鹿が道路のど真ん中歩いとったわ」
「神の使いって交通マナー悪ない?」
「それは神様の管轄外や」

みたいな会話が交わされていたとかいないとか。

以降、鹿は国家レベルで保護される対象となり、鹿を傷つけたら死罪という法律まで誕生。今でいうなら猫に冷たくしたら懲役5年みたいな世界です。なにそれ怖い。

③じゃあなんで鹿だったの?

さて、ここで大事な問題。

「なぜ鹿だったのか」

タケミカヅチ様がたまたま白鹿に乗ってたからってだけじゃ説得力が足りない。実は、鹿には神の使いにふさわしい条件が揃ってたんです。

[群れで行動する]…目立ってありがたみが出る

鹿は群れで行動する動物なので、祭りや儀式のシンボルとして最適。

[温厚で賢い]…人間の近くにいてもトラブルが少ない。

おいコラ!最近の奈良公園の鹿にそれ言えるんか!と言いたいですが、あれは観光客が増やした悪しき習性とも言われてます。

[神話の中で神とセットで語られる]…イメージ戦略成功!

古代のPR担当が有能すぎたんでしょう。神様の移動に使われた白鹿なんて、そんなんロマンしかないやん。

【共存の歴史】

①鹿と奈良人はどこから始まった?

鹿と人間の付き合いがいつから始まったか。ズバリ、約1,300年前からです。奈良時代に都が平城京に移された頃には、すでに春日大社の聖域に鹿が存在していたと記録に残ってます。つまり、人間と鹿の付き合いは日本史より長いかもしれないって話。人類史の裏に鹿あり、です。下手した『武士道とは鹿を敬う心である』とか言われても、納得しかねない。

「なぜ鹿なのか?」の答えは、結局シンプル。

神が鹿に乗ってきたからそれ以外の選択肢がなかった。

この島国は、そういう国なんです。

理由はどうあれ、神の使いを1,300年も放し飼いしてきた日本人、それに群がる観光客、それをSNSでバズらせるインフルエンサー、全員まとめて鹿に仕えてるようなもんです。それが奈良。それが奈良公園。


【奈良公園でのルール】

まず最初に言っておくと、奈良公園は鹿との距離が異常に近い観光地です。他所の動物園なら檻越しに「わぁ〜鹿だ〜」で終わるところを、奈良では「あっ鹿にイヤホン食われたわ」が通常営業。でもこの近さに甘えてはいけない。なぜなら奴らは野生。しかも神の使い。つまりお前が調子に乗ってピースとか言って自撮りしてたら、神罰(角突き)が飛んでくる。それだけの話だ。

【公式ルール】奈良公園で鹿と接するときの心得

奈良市観光協会や奈良の住民たちが、涙と怒りでまとめ上げた『鹿と正しく付き合うためのルール』がこちら。

①鹿にエサ(鹿せんべい)以外をあげるな。

コンビニのパン?ポッキー?お前の残飯?全部NG。鹿せんべい以外をあげる奴は神の胃袋を破壊する逆賊です。言っとくけど、鹿が中毒起こしたらお前がニュースになるからな?

②撫ですぎるな。尻尾を引っ張るな。押すな。

「鹿はお前のペットじゃねぇ」って何回言わせるんや。撫でたい気持ちは分かる。でも奴らはアイドルじゃねぇ。一方的な愛情表現はただの迷惑行為だ。元カノかお前は。

③フラッシュを焚いて写真を撮るな。

フラッシュってのはな、鹿の世界では殺意と同義なんや。キラーン☆ってやった瞬間、お前の後頭部に角が刺さっても文句は言えない

④子鹿に近づくな。マジで親が襲ってくる。

子鹿可愛いよな。分かる。でも近づいたら親が全速力でタックルしてくるぞ。しかも容赦ない。「えっ俺人間やで?」とか通じない。鹿界ではお前が加害者、親鹿がジャスティスや。

⑤追いかけるな。

鹿が逃げてる時点で、お前が悪いやつに見えるんや。そのままニュースで『観光客、鹿に危害加えた疑い』って書かれても知らんぞ?

⑥ゴミを落とすな(鹿が食べてしまう)。

奈良公園に落ちてるレシート一枚で鹿が病気になる可能性あるんやぞ。「落としただけ」だと?じゃあお前の命も落としてこいや

【まとめ】

奈良公園での観光って、鹿とのコラボなんですよ。つまり、共演者をリスペクトせずに舞台に立つなって話。鹿はあの空間の主役であり、演出家であり、時に撮影監督。調子に乗って「おいでおいで~♡」なんて呼んだ瞬間、演出カットされるからな?

この公園で調子に乗った奴は、大体ケツを噛まれるか、ズボンを喰われるか、バッグのチャックを開けられる。

鹿は優しい顔したギャングです。

けどそれも『人間の傲慢に対する神の審判』だと思えば、ありがたい話かもしれません。なぁそう思わないか?観光客さんよ。


【その他の観光スポット紹介(なのに行ってない)】

はい。えー……奈良公園って、実は鹿だけじゃないんですよ。本当なんです信じてください。例えば!

①東大寺

はいドーン!世界最大級の木造建築にして、大仏様が鎮座するスーパースポット。みんな知ってる!修学旅行で強制連行された経験あるよね?

②春日大社

なんと!平安時代から続く由緒正しき神社で、朱色の社殿が美しすぎてインスタが爆発するレベルの映えスポット!

…ね?すごいでしょ?いやもう、紹介文だけ読むと、完全に行ったっぽい空気出てるでしょ?でも

全部!!!行ってません!!!

なぜかって?鹿だよ。もうそれしかないよね。俺が悪いんじゃないあいつらが悪いんだ。道端でお辞儀された瞬間に「なにこの文明的な野生動物…」って感動して、そこからもう写真撮って撫でて避けて追いかけられて頭突きされてをループしてたら時間が吹き飛びました。観光地の時間泥棒とは、鹿だったのです。

東大寺も春日大社も、近くまで来てたんです。地図アプリ上ではな。でも、現実世界では鹿の圧力で一歩も進めませんでした。「こっちはお前らの領土じゃねぇからな!!!」って叫びたいのに、なんでこっちが申し訳なくなって道を譲ってるのか意味がわかりません。

というわけで、観光客として最も失格なムーブをキメてしまった事、この場を借りて土下座させていただきます。

※鹿の写真しかありません。お詫びとして、鹿の魅力だけは異常に語ってるので許して。


【奈良公園のアクセス情報】

①電車でのアクセス(良心の権化)

JR奈良駅から奈良公園まで…徒歩約20分、バスで約10分。
近鉄奈良駅からならもっと近い…徒歩で約10分。

もうこの距離感だけで「奈良って優しい」と思えます。人類が鹿に会うために払うコストとしては破格。Googleマップも「がんばれ」って応援してくる。

②バスでのアクセス(天才の選択)

[奈良交通バス]…東大寺大仏殿/春日大社前や奈良公園前で降りればすぐ目の前。大人しくバス乗っとけ。たったの210円(2024年現在)で鹿に遭えるんだぞ?Uberで東京横断するより、よっぽど価値ある。

③車でのアクセス(怒涛の金欠地獄)

いいか、ここからが問題だ。駐車場代が…高ぇんだよ!!!(経験者です)

[県営登大路駐車場]…60分600円(上限なし)
[近隣コインパーキング]…30分300円とかザラ

おい奈良。お前んとこの鹿、角が生えてるだけで駐車場に金棒でも立ててんのか?なんで鹿に会いに来て、財布からも血を流す羽目になるんだ。600円あったら鹿せんべい買って5回くらい襲われられるぞ?なのに車止めるだけで600円だと?いや、冷静に言うけどな?鹿って駐車場代払ってないんだぜ?完全に勝ち組なんだよアイツら。

④タクシー(リッチマン専用移動手段)

[JR奈良駅からタクシーで奈良公園]…約10分、1,200〜1,500円前後。

「今日は鹿に会うついでに、運転手とも交流しちゃおっかな〜」って人向け。ただし、奈良のタクシー運転手はめっちゃ地元愛が強いと聞いたので、間違っても「なんでこんな田舎に鹿がいんすか?」とか聞くなよ。高確率で車内が修羅場になるからな。

交通手段所要時間金額目安
電車(+徒歩)約30〜40分約300〜600円
バス約40〜50分約210〜350円(路線により変動)
車(駐車場代込み)渋滞次第で不明約1,000円〜(駐車場代含む)
タクシー約15〜25分約2,000〜3,000円

【まとめ】

奈良公園には電車かバスで行け。場で財布の命日を迎えたくなければ、大人しく公共交通機関を使え。それが一番、財布にも、神の使いにも、あなた自身にも優しい。鹿にはエサを。人間には理性を。


【実際に行ってみたら】

体験って言えるほどの事してないけど唯一体験したのは地雷原だった件

「奈良公園どうだった?」と聞かれたら、迷わずこう答える。

「鹿と鹿のうんこがいました」

以上、現場からは以上です。

…いや、本当はもっとオシャレなこと書きたかったんですよ「歴史を肌で感じました」とか「鹿とのふれあいに心が洗われました」とか。でも現実は違った。観光地にありがちな『何かと鹿』じゃなくて『全部が鹿』だった。どこを向いても鹿。鳴いても鹿。座っても鹿。寝ても鹿。人類の生息圏は既に失われていた。そして、奴らはいたる所に爆弾を残していく。

うんこね。鹿うんこね。

これがまた「綺麗な形状してやがって…」って言いたくなるくらいの球状で、まるでトラップみたいに点在してる。油断したら即アウト。写真撮って後ろに下がった瞬間、爆発四散(靴が)。なぁ、奈良公園って地雷原か?戦場か?シカ戦争の終戦記念地か?どんなに神の使いだろうが、どんなに愛らしかろうが、うんこはうんこだ。それを忘れた瞬間、君の旅の思い出は『景色』じゃなく『臭い』になるからな。

【まとめ】

①奈良公園=鹿の王国
②その王国=トイレ未整備
③歩く前に確認しろ、そこ地雷だぞ


【最後に】

神の使いにボコられ、人間の尊厳を失う場所、それが奈良公園である。

『癒しの鹿たちと触れ合える観光地』とかいうフレーズに騙された観光客たちよ、今こそ真実を知れ。ここは鹿による、鹿のための、鹿の楽園だ。

・最低限の秩序はあっても、法律より鹿ルールが優先される。
・君がせんべいを手にした瞬間、契約は成立する。
・鹿に背を向けた者から狩られていく。
・そして最終的に君の財布と心は空になる。

あれ?これ観光地じゃなくて修行場じゃね?京都で厄を落としたあとに、奈良で魂を浄化される。つまりそういうことか。関西は精神修行コースだったんだな?そして何より大事なことを言う。

奈良公園には「鹿しかいない」と言ったが、鹿だけで充分だった。

というわけで、次に奈良公園を訪れる時は、覚悟を決めて行ってください。鹿せんべいは買うな。靴底は厚めにしろ。プライドは置いていけ。じゃないと、あっという間に『奈良の鹿』じゃなくて『奈落の地獄』になるからな?

それでも行きたい人は、地図と勇気と運とほんの少しの鹿へのリスペクトを持ってどうぞ。

以上、奈良公園からのうんこまみれレポートでした。

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