恐竜が好きだ。あの無駄にデカくて、無駄に強くて、そして絶滅したあの感じがたまらない。そんな俺が『現代に生きる恐竜』と呼ばれるコモドドラゴンをこの目で見るため、ついにコモド島のツアーに参加してきた。
その名も『コモド島アイランドポッピング』
名前だけ聞くと『陽気な南国ツアー』だけど、実際は『恐竜と遭遇するかもしれない命懸けピクニック』だ。ツアー会社は日本語対応。つまり『ドラゴンに食われる前に最後の言葉を日本語で伝えられる親切設計』
海は信じられないほど青く、島々はまるで恐竜の背中みたいにゴツゴツしている。この世にまだ『太古』が残ってる場所なんて、そうそうない。船に乗ってる時点で心の中ではずっと『ジュラシックパーク』のテーマが流れてた。俺だけBGMつきの生き物ドキュメンタリー。
という訳で今回は、そんな『恐竜の島への冒険ツアー』を、体験談と共に全力で語っていく。果たして俺はドラゴンに出会えたのか、それとも昼飯のナシゴレンに心を奪われたのか。どっちにしても、命はギリギリで繋がっている。
コモド島アイランドポッピングとは?
概要と魅力
このツアーを一言で説明するなら『恐竜と海と日差しの戦い』である。
舞台は世界遺産のコモド国立公園。
世界で唯一『人よりドラゴンの方が偉い島々をめぐる冒険ツアー』だ。メインの見どころはもちろん世界最大のトカゲ、コモドドラゴン。図鑑で見た時は『ちょっとデカい爬虫類』くらいの認識だったが、実物を見ると「恐竜だこれ」ってなる。人間の本能が「走って逃げろ」って言ってくる。
そして海。
沖縄移住の俺が言うんだから間違いない。沖縄に負けない透明度。船の上からでも底のサンゴが見えるし、シュノーケリングすればウミガメが「お前また来たの?」みたいな顔で泳いでくる。さらに運が良ければマンタまで登場。もはや海の中が動物園+ファンタジーRPGのコラボ会場。
そしてこのツアーの一番の魅力は『非日常すぎて現実に戻れなくなる事』
スマホの電波は死に、時間の感覚も溶け、最後には「日本って本当にあったっけ?」と一瞬記憶がバグる。でもそれこそが旅の醍醐味。ドラゴンと泳いで、海で泳いで、文明を一回リセットする。
このツアーは『観光』じゃない『再起動』だ。社会に疲れた人類よ、一度ドラゴンに会ってリセットされてこい。




訪れる主なポイント
パダール島
まず最初に登場するのが『コモド国立公園の顔』ことパダール島。
あの有名なルピア紙幣の表紙にもなった、インドネシアが世界にドヤ顔で見せびらかす絶景スポットだ。頂上からの景色は、まるで地球のパッチワーク。複雑に入り組んだ湾と、グラデーションの海が一望できる。
登山道はそこそこキツいけど、頂上で見るあの景色は努力に課金するタイプの絶景。息切れしながら「死ぬかと思った(良い意味で)」って言える場所。

ピンクビーチ
名前からして可愛いくせに、実際に行くと「これ本当にピンクだ!」とテンション爆上がりする奴。
このピンク色は、サンゴの破片や赤い有孔虫(プランクトンの亡骸)が白砂に混ざることで生まれる自然のアート。太陽の角度や時間帯によっても色が変わるので、運が良ければ『フォトショップいらずの奇跡の浜』になる。
ただし油断して寝転がると、背中が砂まみれのミディアムレアになるので注意。

コモド島
そして主役登場。世界最大のトカゲ、コモドドラゴンの聖地。
奴らの全長は最大3メートル、噛まれたら軽く死ぬ。つまり『国立公園』という名の『合法デンジャーゾーン』だ。レンジャーの後ろを歩きながら、心の中ではずっと「俺今エサとしてカウントされてる」って思う。
でもこの迫力、実際に見るとクセになる。命の危険とロマンは紙一重。

タカマカサル
一面真っ白な砂だけでできた無人島。まるで海の真ん中に浮かぶ白い皿。
干潮の時だけ現れる幻の島で、上陸できた人はリアル人生ガチャSSR級。雰囲気は石垣島の浜島にそっくりで「南国の兄弟か?」ってレベル。
ここでドローンを飛ばしたら、もれなく「神はこの島を撮る為に空撮を発明した」と悟れる。

カナワ島/シアバ島/マワン島
この3つは、その日の海況で決まるサプライズ枠。
「今日は波が穏やかだからカナワ!風が強いからシアバ!」みたいなノリで行き先が変わる。どの島もシュノーケリングスポットとして有名で、サンゴ礁がもはや海の絨毯レベル。魚たちも人懐っこくて「今日も観光客来たか〜」みたいな顔で寄ってくる。たまにウミガメが優雅に登場して主役を奪うのも恒例行事。
どの島もそれぞれ個性強めで【海/恐竜/無人島/筋肉痛】が全てセットになった究極の体力消費型ツアー。
今回利用したツアーショップ
オーシャンアカデミーコモド
今回お世話になったのは、ラブハンバジョを拠点に活動しているツアーショップ『Ocean Academy Komodo(オーシャンアカデミーコモド)』さん。名前からして『学問と海を融合させた真面目な組織』っぽいけど、実際は『海で本気ではしゃぐ大人たちの集団』だ。
メインはアイランドポッピングとダイビング。どちらも『命の洗濯』を通り越して『魂の脱水』レベルのアクティビティ。海が綺麗すぎて、潜るたびに「現実世界って何だったっけ?」って思考がバグる。
さらにこのショップ、海だけじゃ終わらない。陸地の冒険系ツアーもやっていて『ワエレボ村』や『ケリムトゥ湖』への一泊二日ツアーも開催中。「ドラゴン見た?じゃあ今度は天空の村行こっか!」みたいなノリで、人間の体力と予定表を破壊してくる。
スタッフさんはみんな陽気で、日本語対応もバッチリ。つまり『ドラゴンに襲われた時も日本語で助けを呼べる』安心設計。旅人にとってこれはかなりデカい。
自然を愛する人間なら [公式サイト]オーシャンアカデミーコモド 一回ここで酸欠になるまで遊んでみてほしい。
日本人には嬉しい日本語対応
海外ツアーで一番怖いのは、コモドドラゴンでもトカゲでもなく『言語の壁』だ。
英語もインドネシア語も話せない俺にとって、ツアー中に「Right!!Careful!!」とか言われても、多分笑顔で「Yes!!!!」って答えながら逆方向に歩くタイプ。
でもこの『Ocean Academy Komodo』には日本語ガイド付きツアーがある。つまり、安心と文明の結晶。ガイドさんが優しく日本語で説明してくれるから「今ドラゴンって言った?それともデンジャー?」みたいな命に関わる聞き間違いも起きない。
おかげでツアー中は、言葉の不安ゼロでコモド国立公園の魅力を全力で堪能できた。
- 「ナヲト!アレヲ見テミロ!!」
- 「えええぇえええぇえぇ!!?」
- そこでなをとが目にしたものとは!?
みたいな感じで、ここに英語力は不要。必要なのは虫よけスプレーと好奇心だけだ。
正直、この安心感はプライスレス。もし友達が「コモドドラゴンに会いたいんだけどどこがいい?」って聞いてきたら「ここにお願いするんだな」って即答する。なぜなら、ここなら『ドラゴンに食われても説明書付き』だから。
予約方法
予約はオンラインから。ここで言っておくが、コモド島ツアーは人気すぎて『気づいたら満席』の流れがテンプレなので、早めの予約が命を救う。
入力項目はこんな感じ。
- 名前
- 連絡先(メール/電話番号)
- パスポート情報
- コモド空港への到着と出発のフライトナンバーと日付
- 希望日の他に予備日の候補
- ランチ選択(チキンorフィッシュ)
- 足のサイズ(シュノーケル用フィン)
もうこの時点で履歴書より詳しい。でも安心しろ、これ全部書いておくとツアー当日に「足ひれ合わねぇ!チキン頼んだのに魚来た!」みたいな地獄を回避できる。つまり未来の自分を救う儀式だ。
そして、後日ちゃんと予約確定メールが届く。さらに前日には「明日ツアーですよ〜!」というリマインドメールまで来る。連絡もこまめで、スタッフの対応も超丁寧。海外特有の『ゆるい感じ』を想像してた俺は、逆に動揺して「海外でこのレベルの丁寧さ?ここ日本支店ですか?」ってなった。
[オーシャンアカデミーコモド]アイランドホッピングツアーの予約はこちらから
この予約フォーム、記入はちょっと長いけど、書き終わる頃にはすでに旅が始まってる。入力する指先がワクワクで震えるぞ。
ツアー当日の流れ
朝の集合はホテル
集合時間は朝の6時30分。
早い…太陽がまだ本気出してない時間に起きるってだけで、すでにアドベンチャーが始まってる。ただし集合時間はホテルによって多少前後するので、油断して二度寝するとそのまま置き去りエンド。ドラゴンどころか布団の中で終わる。
ありがたい事に、送迎サービス付き。
スタッフがホテルまで迎えに来てくれるので「集合場所どこ?」ってパニックになる心配はない。でも俺の場合、朝6時台のテンションは常に人間未満。ピックアップされた瞬間、眠すぎて「おはようございます」じゃなくて「すみません生きてます」って言った。
とはいえ、外に出た瞬間の朝焼けがめちゃくちゃ綺麗で、一気にテンションが復活。「これから恐竜に会いに行くんだ」って思うと、眠気が一瞬だけ消える。その後すぐ戻ってきたけど。


港で入場手続き
ホテルから車で港へ向かうと、まず最初の関門が待っている、入場手続きだ。ここでガイドさんに支払うのが、コモド国立公園の入場料。お値段なんと『IDR250,000』
| 項目 | 料金(ルピア) | 料金(日本円) |
|---|---|---|
| コモド国立公園入場料 | IDR250,000 | 約2400円 |
「ちょっと高くない?」って思ったそこのあなた、安心してほしい。このお金は『恐竜と共存するためのチケット代』だ。映画なら命がけで走らないと体験できない光景を、たった2,400円で合法的に見られる。そう考えたら安いもんだ。
入場料を払うと、QRコードを受け取る。要するに「あなたこれからドラゴンのテリトリーに入りますね?自己責任でwww」という公式な通行許可証だ。
ようこそ人間、ドラゴンたちの餌場へ。




高速船に乗船
いよいよ冒険の始まり。港から乗り込むのは、約15人乗りの小型高速船。見た目はコンパクトだけど、エンジン音はやる気満々のバイク。船体が揺れるたびに「俺今RPGのオープニングにいるな」って錯覚する。

中にはトイレとシャワー付きという、意外とハイスペックな設備が完備。「船なのにシャワー!」って一瞬テンション上がるけど、波が強い日は多分浴びながら転ぶ。トイレもあるけど、使う時は揺れとのバトルモード突入。勇気とバランス感覚が試される。


そして一番の感動ポイント、お菓子と飲み物が無料。ポテチとチョコが棚に並び、水とジュースまで用意されている。当然、俺は迷わずお菓子の前に座った。理由は簡単、お菓子が近いと幸せが近いから。旅の哲学だ。お菓子の前の席は戦略。旅の快適さは『座る位置』で決まる。
最初のポイントまでは約60分の船旅。エンジン音と潮風、そしてポテチの香りに包まれながら、俺のテンションはすでに南国モード。この時点で「帰りたくない」って思ってた。まだ出発して10分なのに。
パダール島
最初の目的地は、ツアー最大の見どころにして最初の地獄『パダール島の絶景トレッキング』


所要時間は約90分。頂上までは歩いておよそ30分。数字だけ見ると「余裕じゃん」って思うけど、実際は気温35℃越えの灼熱修行。頂上までの道中、観光客の半分は汗で溶け、残りの半分は途中で悟りを開いてた。




中には暑さに耐えられず、日陰で座り込んで「俺もうここで生きるわ」って表情してる人もいる。そんな中を、野生の鹿がスタスタと横切っていく。あの目、完全に人間を見下してて「お前らよくそんな格好で登るな」って言ってる気がした。
頂上はまさに絶景。ルピア紙幣の表紙にもなった景色が広がる…が、そこは映えスポット地獄の最前線でもある。外国人観光客たちが一斉にポーズを決め、絶壁ギリギリでセルフィー合戦。
中には35℃の猛暑の中、フルメイク+ワンピース+ヒールで登ってきた猛者もいた。俺なんて帽子とタオルで完全防備でもしんどいのに、彼女達からは顔面蒼白で「なにがなんでも」という執念が伝わってくる。その瞬間、心の中でこう思った。
「インフルエンサーになるって命懸けなんだな」
って尊敬と
「SNSって人間をここまで追い詰めるのか」
って恐怖が同時に襲ってきた。


帰りの船着き場にはトイレとお土産屋もあるけど、誰もお土産見てない。みんな無言で水を買って「生きて帰れた」って顔してた。




パダール島の頂上は『絶景スポット』じゃない。人間の限界値を試す実験場だ。
ピンクビーチ
パダール島で魂を削られた一行が次に向かうのは『ピンクビーチ』


高速船で約20分。エンジン音と潮風に癒やされながら「次こそはのんびりできる」と信じた俺の期待を、南国は見事に裏切ってきた。
浜辺に降り立つと、そこにはまさにその名の通りの光景。砂浜がほんのりピンク色に染まっている。初めて見た時、俺の脳は「誰か苺ミルクでもこぼした?」って思った。このピンク色の正体は、赤い有孔虫(プランクトンの死骸)と白いサンゴの破片が混ざってできた奇跡のコラボ。つまり、可愛い見た目とは裏腹に、構成要素は『微生物の亡骸』…そう、自然はときどき美しさの裏にホラーを隠してくる。


そしてこのビーチ、日陰の休憩所と売店がちゃんとあるのもありがたい。日差しが殺意を持って降ってくる中、冷たいジュースが文明そのものに感じる。


「これがオアシスか…」って言いながらポカリを飲む俺の横で、外国人観光客たちはインフルエンサー撮影会を開催していた。
全員ビキニ姿でカメラに向かってポーズを決めるけど、誰も海には入らない。1mmも濡れない、完璧な角度の『映え』を求めて砂浜の上を徘徊していた。そしてその後ろで黙々とカメラを構える彼氏たち。俺は見た。あの瞬間、全世界の『彼氏カメラマン』の魂が一瞬だけ抜けていた。
ピンクビーチは、ロマンチックな楽園じゃない。映えと現実の戦場だ。でも、太陽の光に反射してほんのりピンクに輝くその景色は、確かに息をのむほど綺麗だった…だからこそ、彼氏たちは今日もシャッターを切るのだ。


コモド島
ピンクビーチから高速船で約30分。ついにこの旅のラスボス、コモドドラゴンの島へ上陸。


船乗り場の周辺には小さな集落とお土産屋が並び、どこかのんびりした空気が漂っている。だがこの島、のどかに見えて全域ドラゴンの縄張りだ。平和そうな風景の裏で、命のスリルが常に隣にある。




出発前にレンジャーからブリーフィングを受ける。ガイドさんを通して「もしコモドドラゴンが襲ってきたらどうするんですか?」と質問してみたら、レンジャーは木の棒を掲げてこう言った。
「この棒でぶっ叩く」
いやそんな原始的な防衛法なの?一応世界遺産なんだからもうちょっとハイテクで行こうぜ。でもその言葉を聞いた瞬間、俺は悟った。ここは観光地じゃない『野生と人間の綱引き』の最前線だと。

さぁ、いざドラゴン探しへ出発。最初は集落の中を歩く。家々の床が地面から高く作られているのは、コモドドラゴンが部屋に侵入しない為の知恵。つまりこの島では『バリアフリー』より『ドラゴンフリー』の方が大事。村には学校も病院もあり、ヤギとニワトリが野放し。どこかで鳴いてる「メェ〜」と「コケ〜」が、のどかなBGMを演出しているが、彼らも多分命がけ。






集落を抜けると、突如として現れるお土産屋ストリート。「こんなに売る物あるのか?」と思うほどドラゴングッズが並ぶ。Tシャツ、置物、そして謎のキーホルダー。そんな商魂たくましいエリアのすぐ横で






いた!コモドドラゴン!ご対面!


体長約2メートル、全身パンパン。太りすぎて動く気ゼロ。まるで「今日も人間見物か」とでも言いたげな顔で寝ている。レンジャーが英語で何かを説明していたけど、単語が一切入ってこない。「Danger」と「Don’t move」だけ聞こえたから、とりあえず石像みたいに固まった。
その後も少し森に入ると、普通にいる。道の真ん中、木の根元、日陰の下。そこら中に恐竜が落ちてる感覚。








最終的にその日出会えたドラゴンは合計9匹!ガイドさんも「こんなに見られるのは珍しい!」と興奮してた。俺も内心「珍しいって言うな!そんなレアエネミー近くに9匹もいたら怖いだろ!」って叫んでた。
最後は来た道を戻り、レンジャーに「棒さばき最高でした」とお礼を言って次の島へ。心の中ではずっと思ってた。やっぱり俺、恐竜が好きだ。けど、できればもう少し距離を置きたい。






ランチタイム
コモド島で命の危険と感動を両方味わったあと、次のポイントへ向かう船の上で待っていたのは、ランチタイム。船の揺れと潮風に包まれながら食べるご飯、もうそれだけで五つ星。どんな弁当でも『これが世界一美味い』に変わる魔法の環境だ。
オンライン予約の時に選んだランチ『チキンorフィッシュ』で、俺は迷わずチキンを選択。「チキンなら安心だろ」そう思っていた。まさか中にデスソース級の赤い液体が潜んでいるとは知らずに。
一口食べた瞬間、舌がバチッと目を覚ました。口の中で南国が燃えてる。まるで「インドネシアへようこそ」を炎で表現してるみたいだった。あまりの辛さに、海風が熱風に感じる。水を飲んでも辛さは治まらない。むしろ口の中でバカンスが続いてる。
でも不思議な事に、気づけば笑ってた。汗だくで涙目になりながら「あぁ…これも旅だな…」って。文明の味じゃない自然と香辛料の暴力。それがコモドランチ。


タカマカサル
次に訪れたのは、海の真ん中にちょこんと浮かぶ小さな砂浜『タカマカサル』


上空から見たら『神様が砂をひとつまみ落とした場所』みたいなサイズ感。周りは360度エメラルドブルーの海。あまりの青さに、現実の色味がバグる。
「あれ?ここ石垣島の浜島じゃね?」って錯覚した。そう、ここは沖縄の浜島にそっくり。潮が引いた時だけ姿を現す幻のような島で、上陸した瞬間に懐かしさが込み上げてきた。この海を見て、改めて思った。沖縄の海に移住して良かったなって。
でも同時に、沖縄とは違う『異国の海の青』がある。珊瑚の形も種類も違って、沖縄の海が『優しい青』なら、ここは『野性の青』だ。同じ海でも、国が変わると表情がまったく違う。まるで兄弟みたいで、どっちが上とか下とかじゃなく「お互いよく頑張って海やってんな」って肩を叩き合いたくなる。


マンタスイム
ツアー後半の目玉イベント、それが『野生のマンタと泳ごう』という夢のような企画…のはずだった。
現実は『自然と人間のカオスな運動会』である。
マンタが現れるのは、潮の流れが強い場所。つまり『泳ぐ』というより『流される』に近い。命懸けで海に浮かびながら、優雅に泳ぐマンタを見る。その姿は本当に神秘的で、海の王者の貫禄。だがその周りに群がる観光客の動きがもはやドキュメンタリーじゃなくコント。
スイムのルールはシンプルだ。
- 飛び込まない
- 追いかけない
- 潜らない
この3つを守るだけの簡単なルール。でも人類は『簡単なルールを破る天才』だ。
マンタを見つけた瞬間、船長がハイテンションで叫ぶ。
「マンタァァアアッッッ!!!!」
その声で観光客が一斉に海へダイブ!飛び込むなって言っただろ!開始2秒でルール崩壊。
中国人たちは全員水面であっぷあっぷ溺れ、イタリア人たちは潜って追いかけ始める。もはやマンタスイムじゃなく人類の水上大混乱フェスティバル。船長の「No dive!!」という悲痛な叫びが、潮風に虚しく消えていった。
でもそんな混沌の中で、ちゃんと3回中3回ともマンタと泳げた。ゆったりと海を舞うその姿はまさに海の天使。人間の騒ぎを完全に無視して「お前ら小っちゃいな」とでも言いたげな余裕の泳ぎ。
マンタスイムは感動と混沌が同時に押し寄せる、海上版バトルロワイヤル。でも一度見たら忘れられない。人間のマナーは沈んでも、マンタの優雅さは沈まない。

カナワ島
ラストに訪れたのは『カナワ島』
ただし今回は上陸せず、周辺の海でシュノーケリング。このポイント、深さはおよそ10m。つまり、泳げる者と泳げない者の生き残りバトルステージである。
潜れる人間にとっては天国。透明な海の下に広がるサンゴ礁、そしてその中を悠々と泳ぐウミガメたちのパレード。「おい何匹いるんだ?」ってくらいの遭遇率で、最初は数えてたけど途中で諦めた。多分海の中の99%はウミガメだった。
ただし、潜れない人にとってはちょっとハード。波に揺られながら上から海を覗いても、10m下のウミガメは豆粒サイズの感動。多分彼らの脳内では「この海ウミガメより自分の呼吸が危ない」ってなってる。
俺は沖縄でも何度もウミガメを見てきた。でも不思議と、インドネシアの海で見た瞬間、胸の奥がグッと熱くなった。多分それは『違う海で同じ生き物と出会えた』という感動。人間がどこにいようと、ウミガメはウミガメのまま。変わってるのは、見てる俺の方なんだと思った。カナワ島のウミガメは、海の中で何も語らないけど、旅の意味を静かに教えてくる先生だった。

帰港
全ての島を巡り終え、船はエンジン音を響かせながら港へ戻る。約30分の帰路。潮風が気持ちいい…というより、全員もう魂が抜けてる。
朝6時半に始まった冒険が終わり、今はただ無言で遠ざかる島々を見つめる。あの灼熱のパダールも、ピンクの砂浜も、棒一本でドラゴンと対峙したあの緊張も、全部が夢みたいだった。
港に着くと、ガイドさんが笑顔で「どうだった?」と声をかけてくれた。一日中マンツーマンで案内してくれた、優しくて頼もしいあの人…ただ、俺は最後の最後で気づいた。
名前を聞き忘れた。
あんなに命を預けたのに。記憶に残ってるのは笑顔と「OK!」の発音の良さだけ。俺の中では彼の名前はもう『ガイド兼英雄さん』で登録されている。


ツアー詳細[オーシャンアカデミーコモド]
料金
| 項目 | 料金(ルピア) | 料金(日本円) |
|---|---|---|
| 基本料金(大人子供共通/3歳以上) | IDR2,450,000 | 約23000円 |
| プライベート日本語ガイド(オプション/シェアボート同行) | IDR4,500,000 | 約43000円 |
| 現地別途(コモド国立公園入場料/アクティビティチケット/レンジャー代/係船料の合計) | IDR425,000 | 約4100円 |
| 備考 | 料金/各チケットは予告なく変更され、参加日時点の料金が適用されます。 |
決済方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Web予約の支払い | クレジットカード利用可(サイトから事前決済) |
| 現地での支払い | 国立公園入場料などは現金(インドネシアルピア)で支払い |
| メモ | カード銘柄/手数料などは予約画面の表示に準拠 |
開催日
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催曜日 | 日/月/火/水/木/金/土(毎日催行) |
所要時間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ツアー時間 | 約10時間 |
| [例]当日の流れ | ❶ホテルお迎え[5:30-6:20] ❷出航[7:00] ❸各島巡り ❹帰港[16:30] ❺ホテル到着[17:00] (海況等で変動) |
ツアー代に含まれるもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 含まれるもの | 送迎/日本語ガイド/スノーケリングセット/ランチ/保険 |
ツアー代に含まれないもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 含まれないもの | コモド国立公園入場料/アクティビティチケット/レンジャーガイド代/係船料/手数料(現地別途/現金払い) |
| 目安料金(ルピア) | IDR425,000 |
| 目安料金(日本円) | 約4100円 |
持ち物
コモド島ツアーは、ただの観光じゃない。冒険とサバイバルの中間地点だ。ここでは、実際に参加して『持ってきて良かった物』と『持って行けば命が少し楽になったかもしれない物』を紹介する。
運動靴とサンダル
これは必須アイテムの二刀流。パダール島みたいな灼熱の登山ポイントでは運動靴が命を救うし、ピンクビーチやタカマカサルみたいな海ポイントではサンダルがないと地獄を見る。
ヒール?論外。ヒールでパダール登るのは、もはや修行僧か勇者かのどっちか。
『映えたい』と『生きたい』を天秤にかけた時は後者を選ぼう。
酔い止め
高速船は想像以上に揺れる。
「波と一体化した」と思った時点で、もう遅い。実際、隣の中国人観光客が船の縁でリバースしてた。旅って、いろんな意味で文化交流だなって思った。
酔い止めを飲んでおけば、海の青さを楽しむ余裕が生まれる。飲まなければ、海の青さと胃の中の色が混ざる。選べ。
日差し対策
南国の太陽は、もう兵器。容赦なく肌を焼き、瞳を攻撃してくる。
- 帽子
- 日焼け止め
- サングラス
この3種の神器はマスト。これがないと、午後にはコモドドラゴンと同じ色になってる。特に日焼け止め。塗り忘れた部分だけ真っ赤になって「ここから進化途中の生物ですか?」ってくらいムラができる。
実際に行ってみた
安心をお金で買う
まず言いたいのは『安さ』だけで選んではいけない。今回のツアーは、他のショップに比べると少し高めだった。最初は「ちょっと高いな…」って思ったけど、結果的に命の値段としては激安だった。
船はピカピカに清潔、スタッフは笑顔で丁寧、お菓子と飲み物は無料、ランチも普通に美味しい。つまり『お金がちゃんと仕事してる』状態。安いツアーだと、この『当たり前』が全てギャンブルになる。
しかも聞いた話によると、安い船はマジで燃えるらしい。「え?比喩じゃなくて?」って思ったら、業界の人が真顔で言った。
「毎月一回は燃えてんじゃねぇかな?」
毎月!?燃えすぎじゃない!?それもう確率で言えば『月刊炎上』じゃん。SNSでバズるどころか、物理的にバズってる。
つまりこのツアーで払った追加の数千円は『豪華さ』の為じゃなく『燃えない保証』の為の保険料だったのだ。人は安全の上に成り立つ観光を舐めちゃいけない。
安さで選べば財布は喜ぶけど、命が悲しむ。安心をお金で買えるなら、それはもう最強の贅沢だ。
視覚の情報は不要
今の時代、旅に出る前から旅が終わってる。なぜなら俺たちはYouTubeとSNSで全部見ちゃってるからだ。
出発前、俺も例に漏れず『コモド島 観光』みたいな動画を見まくってた。絶景、ドラゴン、ピンクビーチ、全部頭の中で予習済み。で、現地に行って実際に見た瞬間の感想がコレだ。
「…あ〜動画で見たやつだ」
感動が『既視感』に置き換わった瞬間である。なんか胸がモヤッとした。感動を奪った犯人は、他でもない『俺自身の好奇心』だった。
もちろん、事前に情報を集めるのは悪くない。安全面でも役立つし、現地で迷子にならない。でも旅って本来『わからないから面白い』ものだと思う。予習しすぎると『感動』が『確認作業』になる。それはもう旅じゃない『現地参加型の再放送』だ。
次からは何も調べず『何も知らない何も見てない何も聞いてない何一つわからない』状態で行こうと思う。そうすれば、海の青さも、ドラゴンの迫力も、全部『初めての衝撃』として脳に焼き付くはずだ。
スマホの画面で見る100回より、現地での1回の『わからなさ』の方が価値がある。旅は検索じゃなく、体験で完結させる生き物だ。
言葉がわからなくても楽しい
今回の旅で一番強く思った事、それは『言葉がわからなくてもちゃんと楽しい』
船のブリーフィングは全部英語。しかも早口で「Today we are going to…」とか言われても、脳が勝手に「トゥデイ?誰?」で止まる。内容なんて1mmも理解してない。でもなぜか楽しい。不安じゃない。むしろワクワクしてる。
何でかって?笑顔と握手があれば大体どうにかなるからだ。
- 「ハロー!」
- 「オッケー!」
- 「イエア!」
この単語で9割の会話は成立する。残りの1割はテンションで補う。
実際、船の上で外国人観光客と仲良くなるのに、言葉はいらなかった。みんなニッコニコで「うぇーい!」って言いながら写真撮って、ハイタッチして、言語の壁はあるけど、テンションの橋は架かってる。
海外旅行って、語学テストじゃない。正しい文法よりも、正しいテンションの方が大事。伝わらなくても笑ってりゃ何とかなる。むしろその方が面白い。
『わからない事』を恐れるより『笑えない方』が損。海外旅行は、世界共通語の「うぇーい」で何とかなる。
最後に
那覇から羽田、羽田からジャカルタ、ジャカルタからコモド、そしてドラゴンとウミガメと人類のカオスが入り混じったこのコモド島アイランドポッピングツアー。振り返ると、もうこれただの観光じゃない。生存確認付きアトラクションだった。
まず言いたい。コモド島ツアーは『癒し』じゃない『試練』だ。パダール島では暑さで魂が蒸発し、ピンクビーチでは映えに命を燃やす人間たちを見て社会の縮図を学び、コモド島では棒一本でドラゴンに立ち向かうレンジャーを見て『人類の原点』を知った。
その後、船の上で辛すぎるチキンを食べて舌が死亡。タカマカサルの海で「地球って綺麗だな」と感動し、マンタスイムでは『海の天使』と『人間のカオス』を同時に見て、世界の真理を理解した。最後にカナワ島でウミガメと泳ぎながら「あっ俺今生きてる」って実感した。いや途中何度か死にかけたけど。
確かにツアー代は安くない。でも、燃えない船に乗れて、生きて帰れる保険料込みと考えればむしろ破格。YouTubeで何百回見てもわからない、あの『体感する現実』がここにはあった。言葉が通じなくても笑えば友達。笑顔と「うぇーい」で世界はだいたい平和になる。
そして一番学んだのは『旅ってのはドラゴンを見る為じゃなくて自分のバカさを再確認する為にある』って事。
コモド島は、世界遺産であり、人間のメンタル試験場。癒されに行ったはずが、気づけば成長してる。文明を一回リセットして、ドラゴンと同じ空気を吸えば、もう会社の上司の説教なんて屁でもなくなる。
だからもしこの記事を読んで「行ってみたい」と思ったなら「ドラゴンに会いに行ってくる!」って叫べ。そして帰ってきたらきっと言うはずだ。
「やばかった…でも…最高だった」

他にも色んな記事を書いてます。沖縄移住で新しい文化に触れたり、沖縄の離島をチャリで回ったり、県外に出て絶景を巡ったり、海外でパスポート投げつけられたり。お時間があれば、ぜひ他の記事も覗いてみて下さい。
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最後まで読んでくれて本当にありがとう。あなたの貴重な時間を、俺のクソどうでもいい体験談に溶かしてしまって申し訳ない…とか言いながら、めちゃくちゃ嬉しいからこれからも遠慮なく時間を奪わせて下さい。


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